知らなくても良い?「コーヒーの品種」

知らなくても良い?「コーヒーの品種」

知らなくても良いけど知るとコーヒーがもっと楽しくなる

アラビカ種とカネフォーラ(ロブスタ)種

「コーヒーノキ」という植物も生物学的にいくつもの品種に区分されます。大きく分けると「アラビカ種」と「カネフォーラ種」の二つに分けられます。カネフォーラ種は別名ロブスタ種とも言われています。

※厳密にいうとリベリカ種、エクセルサ種もありますがほぼ配合用の品種のため割愛します。

アラビカ種 酸味や風味が良く、ストレートで飲まれる単一豆などは基本すべてアラビカ種
高山での栽培が適している。さび病などの病気にカネフォーラと比べると比較的感染しやすい
カネフォーラ種
(ロブスタ種)
苦味や臭みが強く、ストレートではなく、ブレンドや安価なレギュラーコーヒーの増量などに使われる。
高温多湿での栽培に向いていて病気や害虫にも強く、一本の木に対しての収穫量も多い。

最近缶コーヒーや大量販売のレギュラーコーヒーなどで「アラビカ豆100%」などの表記がよく見られます。要は増量用の混ぜ物としてカネフォーラ種を使用していないコーヒーということです。スペシャルティコーヒーが全盛のこの時代に缶コーヒーはまだしもレギュラーコーヒーで声高々にアピールすることではないかと思いますが…。

アラビカ種の中の品種

上記でも触れたアラビカ種ですが、現在スペシャルティコーヒーの品種に関しては全てこのアラビカ種と言えます。更にはアラビカ種の中にも細かく品種が分けられていますが、品種ごとにもそれぞれ香味に特徴があります。品種の全ては基本的には解明されてはいませんが、最近ではこの品種名が銘柄に冠されることも多いので知っておいて損はない品種を簡単に紹介します。

在来種

エチオピア原種

コーヒーの発祥と言われるエチオピアに自生している原種の総称で数千種あるともいわれている。地域によって香味の違いが様々で、イルガチェフェ、シダモ、ハラー、ジンマなどが有名。

当店取扱い歴:エチオピア イルガチェフェ ウォテ ナチュラル/ウォッシュト、エチオピア ジンマ フンダ・オリ ウォッシュト等

ゲイシャ

エチオピアのゲイシャという村の近くで発見されたことが名前の由来であり、病気にも弱く、生産効率が良くないため商用ではあまり生産されていなかった品種。パナマのエスメラルダ農園がオークションに出品し圧倒的な差で高値がついたほど個性的で素晴らしい香味を持ち、現在ではパナマ以外でも栽培が進んでいる。希少価値の高い品種。

当店取扱い歴:パナマ カジェホン農園 ゲイシャ ナチュラル/ウォッシュト

ティピカ

イエメン、オランダ、フランスと伝承された品種がカリブ海のマルティニーク島へ持ち込まれそこから中南米へと栽培が広がった品種。現在ではハワイコナなどが有名。クリーンな味わいと爽やかな酸味が特徴で深煎りにはあまり適していない。

当店取扱い歴:ハワイ カイナリウ コナ

ガロンガン

インドネシア スマトラ島で栽培されるティピカ系の在来種。さび病の蔓延によるティピカ系品種の被害を免れた貴重な品種。

当店取扱い歴:インドネシア LCFマンデリン

突然変異種

マラゴジペ

ブラジルのマラゴジペという町で発見されたティピカの突然変異種。大粒で特に際立つような香味の特徴は無い。

ケント

インドで発見されたティピカの突然変異種。さび病に強い性質を持つ。現在タンザニアなどで栽培されている。

当店取扱い歴:タンザニア ブラックバーン農園

ブルボン

エチオピアからブルボン島(現レ・ユニオン島)に持ち込まれ栽培されていた品種の突然変異種。東アフリカやブラジルで多く栽培されている。コクと酸味のバランスが良い。

当店取扱い歴:グァテマラ サンタカタリーナ農園、エル・レティロ・デ・キサヤ農園/ブラジル マカウバデシーマ農園、ダテーラ農園/タンザニア ブラックバーン農園/ルワンダ ガスーラ

カトゥーラ

ブラジルで発見されたブルボンの突然変異種。やや小粒でブルボンと比べると香味の特徴がないが非常に生産性の高い品種。

当店取扱い歴:コスタリカ チリポ・インペリオ・ロホ・エル・イゲロン、ロス・クレストネス・エル・アルト/ペルー ウィルダー・ガルシア、アラディノ・デルガノ/コロンビア ラ・チョレラ農園

自然交配種

ムンドノーボ

ブラジルで発見された、ブルボン種とスマトラ種の自然交配種と考えられている。生産性が高く、ブラジルでは栽培率も高い。香味は比較的マイルドである。

人工交配種

カトゥアイ

ムンドノーボとカトゥーラの交配種で、非常に生産性が高いのと実が樹から落ちにくいため雨風の強い地域でも栽培が容易。多くはそれほど香味に特徴が無いが、たまに香味の際立つロットがあると言われている。

当店取扱い歴:コスタリカ モンテス・デ・オロ・ジャサル

パカマラ

パカス種とマラゴジペ種の交配種で、生産量は少ない。グァテマラ、エルサルバドル、ニカラグアで少し生産されている程度。グァテマラのエルインヘルト農園が有名で、ティピカのような素晴らしい酸味とクリーンな味わいを持つ品種。コクがあまりないので主に浅煎りが適している。

当店取扱い歴:グァテマラ エル・インヘルト・ウノ

選抜種

SL28、SL34

ケニアのコーヒー研究期間「スコット・ラボラトリー」によって発見され繁殖された品種でイニシャルであるSLに特徴毎の連番を付けた品種。主に現在栽培されているのがSL28 、34の2品種で華やかな酸味としっかりとしたコクが特徴。

当店取扱い歴:ケニア カラツファクトリー、ガクイファクトリー

まとめ

実際、コーヒーの細かな品種など分からなくてもコーヒーを楽しむことはできますが、ある程度品種を知っていると更に深く楽しむことができます。最近では品種を前面に出してくる豆も多々あり、有名なところでいうと「ゲイシャ」や「パカマラ」というように品種そのものがブランドとして確立されているものもあります。

エチオピアで発祥したコーヒーノキという植物がどのように世界へ広まっていったのか、その過程での変異や配合も含めて中世ヨーロッパの貿易事情なども絡み、品種について勉強してみると非常に興味深いものはあります。最近はスペシャルティコーヒーなどトレーサビリティの明確化により品種を明記しているお店も増えてきています。私たち、小売り側としてはどの情報までお客様に提供していくのか、その情報をお客様が望んでいるのかという葛藤もあります。しかし、現在のコーヒー事情において「生産国」「産地もしくは生産者」「精製方法」「品種」「焙煎度」の5つの情報は提示していくべき情報だと考えています。