地方の小さなカフェとコロナの話

2017年11月から地元でもある片田舎にて
小さなカフェを経営しています。
ただいま3年目です。

おかげさまで小さな規模ではありますが
経営はボチボチ順調にきています。

お店の名前、ロゴ、メニュー表、公式サイト、内装などほぼ全て
半年くらいかけて自分の手で作り上げたお店です。
(外注したのはエアコンと水道工事と看板くらい)

近くに大学もあり学生さんも多いですが、最近では遠方から
わざわざ足を運んでくれるお客さんも増えてきました。

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今年の1月に報道などで新型コロナのニュースを見ていた頃は
まだまだ対岸の火事状態。むしろ過去の新型ウイルスのように
すぐ収束していくだろうなと思っていました。

3月頃になると周りの知り合いの飲食店などから
景気の良くない話をチラホラ聞くようになります。

主に夜がメインの飲食店は影響が早かったですね。
特に3月の歓送迎会シーズンの宴会が
ほぼゼロになってしまったという声をよく聞きました。

実はウチのお店は3月は順調な売上でした。
県をまたいだ移動や観光地が軒並み自粛するなかで
普段は春休みに帰省したりバイトしたりしている学生さんが
身動きできないなか、ちょっと出掛けるのにちょうど良かったのかもしれません。

それでも少しずつ人の動きが縮小してきている感があったので
3月後半にはテイクアウトの準備をすすめていきます。

正直な話、地元ではまだ感染者がでていない状態で
あまり大げさに対策をうたうのは躊躇しましたが、
4月の頭にはテイクアウトを開始。
夜10時までの営業を8時までの時短営業に切り替え、
座席数もソファー席を撤去して間隔を開けての営業です。

 

4月のあたまの某有名タレントの新型ウイルスによる訃報。
これを機に一気に自粛ムードが広がったと思います。

その頃から店内利用の減少が加速しました。

なんとかテイクアウトがカバーをしてくれましたが、営業の流れが激変しますね。
店内提供とテイクアウト提供で微妙にオペレーションが異なるので…
電話受付の件数も格段に多くなります。ウェブでの受け付けも考えたのですが
随時チェックするのが難しいこと、想定されるトラブルへの対処が難しいので
オーダーは電話か店頭のみで行っていました。

はじめに手配したテイクアウトの容器はすぐに発注不可になりました。
予想はしてましたがそれよりも早かったです。代わりを見つけないといけません。
容器代もフォークや袋も含めれば経費もバカになりません。
でも商品に上乗せするのも難しいです。

テイクアウトの需要もどこまで続くだろう?
ドリンクのテイクアウトは元からやってましたが、本来は
店内でゆっくりくつろいでもらうコンセプトなので
ウチの価値が提供できているだろうか?
いろいろな不安や葛藤もありました。

仕入れでも思いもよらぬものが急に手に入らなくなったりします。
今までと同等の額を売り上げるのにコストも手間も今まで以上にかかります。
新メニューもつくったり、メニュー表も作り直したり、いろいろ普段に無い手配をしたり…

「営業自粛して持続化給付金を申請しようか?」
こんな考えがアタマをよぎったりもしました。

それでも、先の見えない営業自粛に踏み込むのは不安も大きく、
自粛してしまうとアルバイトの子たちは収入が無くなってしまいます。
頼れるものには頼ろうとも思いますが、今後も考えていくと
頼らずに済むよう乗り切るチカラが必要でしょう。
できる限りの知恵と工夫を振り絞って営業を続けてきました。

運よく他の地域や他の飲食形態と異なり影響は少なかったのかも知れません。
知り合いや周辺地域の飲食業をはじめとした自営業の方たちの話を聞いていると
もっと切迫した話ばかり聞きます。

6月に入ると緊急事態宣言が解除になり、少しずつ店内とテイクアウトの比率が戻ってきました。
おそらくピーク時は店内2:テイクアウト8くらいでした。
世間的には新型コロナも収束に向かっているように見えます。
でも本当の経済的な影響は今から来ると思っています。
バタフライ効果のようにいろいろな要因が絡みながら…

緊急事態が解除され…移動規制も解除され…
さまざまな施設や観光業などが再開してきましたが、以前のように戻るとは思えません。

新型コロナによって世の中の様々なものの在り方が問われました。
様々な業界でも対応に追われ、賛否両論が巻き起こり
ほとんどの人が初めて経験するウイルスとの共生。
新しい概念や言葉もいろいろ生まれました。
そして今後もウイルスとの共生は続きます。

経営者として少しネガティブな内容を書き綴ってしまいました。
不謹慎かもしれませんが、それでもこんな渦中で様々な困難を目の前に
少し楽しんでいる自分がいることも否めません。

コロナ禍のこの約3ヶ月間、いろいろやってきました…
少々疲れました…体調も少し崩しました…

それでも当店を利用してくれた方々には感謝の気持ちでいっぱいです。
励ましの言葉なども頂き、少しウルッとくる時もありました。

お店を開いて良かった…

来店してくれる方々…
テイクアウトを利用してくれる方々…
SNSをフォローしてくれている方々…

応援してくれる皆さんに
私は少しでも価値を提供できているだろうか?

地方の小さなカフェの経営者は
手の届く範囲くらいしか守れませんが
これからも粛々とコーヒーを淹れ続けていきます。

 

 

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