昔からあるコーヒー銘柄
昔からよく使われているコーヒーの銘柄ですが、皆さんはどのくらいご存知でしょうか?
本来もっと明確な定義とかありますが、ざっくりご紹介すると以下のような銘柄があります。
ブルーマウンテン | ジャマイカの特定の地域産のコーヒー |
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キリマンジャロ | タンザニアの特定の地域産のコーヒー |
コナ | ハワイ島のコナ地区産のコーヒー |
モカ | エチオピア産とイエメン産のコーヒー |
マンデリン | インドネシア スマトラ島北部産のコーヒー |
ブラジル(サントス) | ブラジル産のコーヒー |
コロンビア | コロンビア産のコーヒー |
ケニア | ケニア産のコーヒー |
グァテマラ | グァテマラ産のコーヒー |
そのまま国の名前が付いているのは分かりやすいと思いますが…
たとえばブルーマウンテンはジャマイカ東部にある山脈の名前。
キリマンジャロはタンザニア北部の山の名前。
モカはコーヒーを出荷していたイエメンの港町の名前。
マンデリンはコーヒーの栽培を始めた部族の名前。
ブラジルは出荷する港(サントス港)の名前で表記することもあります。
今でももちろんコモディティやプレミアムと呼ばれるコーヒーは上記の銘柄で流通しています。喫茶店などではグレードを表記していることはほとんどないですが、豆(生豆含む)での販売の際は上記銘柄にプラスでグレードが表記されていることが多いです。(通常は上位グレードしか見かけないですね)
でもご注意いただきたいのがコモディティのグレードって品質では無く、豆のサイズや欠点豆異物混入率などで分けられているので香味のバラつきもあるのが事実です。
コモディティからスペシャルティへ
生産国や産地の名前で流通する「コモディティコーヒー」「プレミアムコーヒー」しかなかった2000年以前のコーヒーの流通事情が生産者や品種、精製などが明確化した「スペシャルティコーヒー」の台頭により店舗、店頭に並ぶコーヒーの銘柄も細分化される時代になりました。
それまでコモディティコーヒーでは産地ごとに集めた豆のサイズや欠点豆混入率などによりグレード分けされていましたが、スペシャルティになると更に小単位の生産者や精製所ごとに実際に専門家によるカッピングテスト(テイスティング)によって評価されるようになっています。
2000年を境に食品トレーサビリティの意識も高まりスペシャルティコーヒーは製品情報を細分化して明記するようになってきました。もちろん厳格な表記規定が有る訳ではないのでお店によってどこまで表記するかはそれぞれですが…
スペシャルティコーヒーの普及に伴う銘柄表記の変化
もちろん流通するコーヒーが全てスペシャルティではありませんので、コモディティやプレミアムは従来の表記で販売されています。スペシャルティの場合、「生産者」「精製方法」「品種」なども明確化されており、なおかつ同じ農園でも「区画」によって区別されるケースもあり、その際は細部まで明確に明記されていることも多いです。もちろんお店によって明記する事項はバラバラで国名しか記載してないケースもあります。
一般的に表記されるパターンとしてはそれぞれの国のシステムによっても異なります。精製まで一括で管理できる農園がある場合は農園名などで表記しますが、国によっては地域の小規模農家の豆を集めて精製所単位で管理しているところもあります。比較的前者は中南米が多く、後者はアジア、アフリカが多い印象です。
例えば当店で扱い歴のある豆で分かりやすく説明します。
エチオピアの場合
エチオピアのコーヒー豆は昔では一括りで「モカ」と呼ばれてましたが、現在ではかなり細分化されて販売されています。有名なイルガチェフェ産のコーヒーなんかは「モカ イルガチェフェ」というような表記をされることもあります。
エチオピア イルガチェフェ ウォテ ナチュラル(国、地域、精製所、精製方法)
エチオピア イルガチェフェ ウォテ ウォッシュト(国、地域、精製所、精製方法)
エチオピア イルガチェフェ イディド ナチュラル(国、地域、精製所、精製方法)
エチオピア ジンマ フンダ・オリ ナチュラル(国、地域、精製所、精製方法)
エチオピアでは基本的にステーションと呼ばれる精製所(コーヒーの実から豆を取り出す工程)があり、その付近の小規模農家が収穫したコーヒーの実を持ち寄る形が多いので上記のような記載が多いです。特にエチオピアでは精製方法も同じステーションでナチュラルとウォッシュト両方あることも多いので精製方法も明記します。
グァテマラの場合
当店ではほぼ定番で扱っているグァテマラですが基本的に農園ごとの表記になります。
しかし、産地として有名な地域で「アンティグア」や「ウェウェテナンゴ」などと表記されているケースもあります。
グァテマラ サンタカタリーナ農園(国、農園名)
グァテマラ エル・レティロ・デ・キサヤ農園(国、農園名)
グァテマラ エル・インヘルト ウノ パンドラ パカマラ(国、農園名、農地、区画、品種)
サンタカタリーナ農園などでは基本的にブルボン種という品種が殆どなので国と農園名のみで表記しています。一番下のエル・インヘルト農園では複数の品種を栽培していることとこのパカマラという品種を専門で栽培しているパンドラという区画があるためここまで細分化して表記しています。
コスタリカの場合
コスタリカではいくつかの農園が共同で精製所を所有する業態が多く、その共同精製所はマイクロミルと呼ばれています。なのでマイクロミル名の後に生産者や区画などが来るケースが多いです。
コスタリカ ロス・クレストネス エル・アルト(国、マイクロミル、区画)
コスタリカ ホイカフェ ロス・セドロス シプレス(国、マイクロミル、生産者、区画)